人生は意外と短い

十年前、二十年前を想像してみる。未来のことなど考えず、その場しのぎで精一杯だった。十年後、二十年後を想像してみる。まだ死んでいるイメージはないが、今ほど身体は動かないのは確実だ。

人はどのように老いていくのだろう。自分の父は今の自分より若くして死んでしまった。少し上の兄も最近亡くなった。他の人は親から学ぶ事もあるだろうが、自分にはどのように老いていくべきか、モデルが存在しない。

今はまだ老いていく実感はない。最も、自分は鈍感なタチらしいので、認めたくない気持ちが目を曇らせているのかもしれない。内臓の調子は少し良くない感じはするが、気の所為だろう。

 

そんな中、『風の大地』というゴルフ漫画ビッグコミックオリジナルで連載されているのだが、その主人公の先輩が亡くなる場面を読んでしまった。主人公の沖田は、節目節目で人の死と遭遇し、それを乗り越える度に大きくなっていく。先輩の宇賀神はその最初の一人なのだが、その病気や死に様は自分の兄と重なる。電子版を通勤中に読んで、電車で涙ぐむ変なおじさんになってしまった。朝からなんちゅうものを読んでしまったのだ…

兄は物語を作るのが仕事で、まだまだたくさんの物語が自分の中に溢れているのだ、と言っていた。弟にはカッコつけたがる男で、散り方は見事だったがが、未練はそうとうあったに違いない。

兄を見送ってから、人はいつ死ぬかわからない、いつ死んでもいいように後悔しないように生きていこうと決意した…つもりだったが、はっきり言って今まで生きる中で我慢することに慣れすぎて、そんな生き方が出来ているとはまだ到底言えない。

 

坂本龍馬が遺したと言われている言葉に、死ぬときは前のめりに死にたい、というのがある。自分も前のめりに、希望を持って生きて行きたい。たとえ空元気であっても。

坂本龍馬の享年からもだいぶ過ぎてしまった。偉人達の生き方は素晴らしいが、到底真似できない事を悟らされる。今更歴史に名を残すような人物になれるとは思っていない。相当凶悪な犯罪でも起こさない限り…そんな力もないだろうが。基本的にビビりなんだよな。

ただ、思い通りに生きたいと言っても、先立つものが無いんだよな…先立たれた人はいるが、って冗談にもならない事を考えて、堂々巡りしている事を堂々と宣言することもなく、日々を消費している。

 

泣いても一日、笑っても一日。その日その日が楽しければ、いつ死んでもいいのかな。